研究紹介
ホーム  >  研究紹介  >  医療支援技術

医療支援システム

我々のグループでは, 画像処理,コンピュータビジョン,コンピュータグラフィックス,バーチャルリアリティ,複合現実などの画像情報処理技術を使って,治療や診断を支援するシステムの開発を目指し研究を行っています.


実時間有限要素解析による軟性組織変形シミュレータの開発

photo

3次元物体モデリングの対象として,時間経過と共に変化する軟性臓器のモデル化は現在もホットな研究対象です.物体の物理的振る舞いをモデル化する技術として,非線形有限要素法があり,高精度な力学シミュレーションが実現できます.しかし,その解析に膨大な計算時間を要する問題があります.従来,近似計算を導入することで有限要素解析の高速化を実現していますが,近似計算により推定精度が低下する問題が避けられません.

これに対し,非線形有限要素解析とほぼ同程度の推定精度と保ちつつ,軟性臓器モデルの変形を実時間で推定可能なシステムを,ニューラルネットワークを用いて実現しました.このような推定処理の高速化と計算精度の保証を同時に満たす従来手法はなく,提案手法は他に類を見ない手法であると言えます.現在,この技術を基盤とした,新しい低侵襲手術シミュレータを開発すべく研究を行っています.

軟性臓器を対象とした内視鏡手術ナビゲーションシステムの開発


安全・正確な定位脳手術のための日本人デジタル脳図譜の開発

photo

脳深部刺激療法とは,脳神経回路の一部を電気刺激する治療法で,パーキンソン病やジストニアなどの難治性不随意運動症に対する治療として注目されています.脳深部刺激療法は,定位脳手術によって正確に標的とする神経核に植込まなければならず,この神経核の同定は,若い欧米人の脳を用いて作成された脳図譜を基に行われています.しかし,この脳図譜は,切断方向によっては全く別の個体が用いられ,内部構造の位置が大きく異なるため,脳図譜から直接整合性がある3次元脳情報を構築することが困難です.そのため,単純な拡大縮小を脳図譜に適用するだけでは日本人の脳に正確に応用することができない問題があります.

我々は,九大医学部や熊本大と共同で,日本初の試みである,形状・解剖・機能データを統合した究極の日本人デジタル脳図譜(脳の解剖学的構造を示した地図)に関して研究を行っています.

組織輪郭情報からの3次元脳モデルの生成

日本人脳図譜のデータベース作成

患者指向脳図譜の推定